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財布フェチ

前回のコラム「レジ・スタンス」を書いていて
思い出したことがある。

私は「財布フェチ」だ!

これまでの人生で数多くの種類の財布を買った。
(高価なモノは少ないが。。。)
しかし、長続きする財布は少なかった。
最短でわずか1週間で使うのをやめた財布もある。

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財布を選ぶ時の着目点は、
やはりレジでの小銭の支払い易さだ。

素早く自分の必要な硬貨を探し出せる財布。

探してみると案外、少ない。
あったとしても、
それは小銭入れに特化した財布だったりして、
逆に、多くの紙幣を入れるには適してなかったりする。

だからといって、小銭入れとお札入れを別々に持つのは
私の「好み」というか「主義」に反する。

お金を払うという1つの動作に対して、
なぜ、2つのツールを用いなければならないのだ?

現在使っている財布は、長持ちしている方だ。
もう1年位は使っている。
小銭入れ、お札入れ、カード入れのスペースが広いからだ。

だが、汚れやすい生地であること、
小銭入れから硬貨を取り出しにくいこと
小銭の量はたくさん入るのだが、
底が深すぎて探しにくい

など難点はいくつかある。
なかなか、100%満足できる財布には出会えない。

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小銭入れ部分の機能だけでなく、
紙幣入れ部分の機能にも実はこだわってしまう。

いつも多くの紙幣を持ち歩いている訳ではないが、
例えば、万札が無いときに1000円以下の商品を買ったりすると、
お釣りとして千円札が9枚帰って来るので、
最低でも10枚程度の紙幣を収納できるスペースは欲しいのだ。

また、紙幣入れのスペースが狭いと、
お店のレジでお釣りでもらった紙幣を財布に突っ込む時に
既に入っているお札をくしゃくしゃにしてしまうことがある。
時には、破いてしまうこともある。

くしゃくしゃに折れ曲がった札を
支払い時に出すのは余りにもみっともないものだ。

一方、
銀行のキャッシュディスペンサーから引き出したお札は
いつもきれいに伸ばされているので気持ちがいい。

この気持ちよさを持続させるため、
財布への紙幣の入れ易さ・出し易さは、
財布選びへの重要なポイントとなるのだ。

しかし、
小銭入れとお札入れの機能の
どちらか片方に特化した財布は結構あるが、
両方とも充実している財布とは滅多に巡り会えない。

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以前使用してみて、とても気に入った財布があった。

いわゆる「ガマグチ」だ。

「ガマグチ」というと

主婦の財布、
女性の財布(主婦も女性であるが。。。)、
お年寄りの財布

といったイメージが強いが、
これが、意外と使いやすい。

主婦、女性、年寄りだけのツール(財布)に
留めておくにはもったいない。

なんと言っても小銭を探しやすいのだ。

「ガマグチ」というだけあって、
ガマの口のように大きい口を開けてくれるので、
探している硬貨が一瞬で見つかる。

チャックと違って、「パチッ」と簡単に開けられるし、
閉めるときも「パチン」とワン動作で済む。

また、あの「パチン」という音が
何とも言えない涼しさを感じさせる
と思うのは私だけだろうか。。。

いずれにせよ、小銭入れとしては、
「ガマグチ」という形態が理想的であることは
ほぼ間違いないだろう。

だが、どうしても避けることができないのが 「イメージ」だ。

男がガマグチを使うのは、似つかわしくないと思ってしまう。

「似つかわしくない」と思うこと自体は、
これまで社会が市民に植え付けてきた偏見である。

ガマグチのような形態を持つ財布を
主婦、女性、年寄りしか使えない、
使ってはいけない
とする理由は全く無いのだ。

だが、社会の偏見、習慣を全く無視して、
平気に振る舞えるほど
私は「自分に忠実(素直)」ではない。

どうしても他人の目を気にしてしまう。
宇野重吉のように「スカート」をはいて過ごせるようになるには、
ある程度、社会的に認知された著名人でないと難しい。

無名の普通の人が変わった事を実行すると、
「変人」扱いされるのだ。

下手をすれば、社会からつまはじきにされる。

そして、もう一つ。
ガマグチは女性の持つものという「偏見」から、
男性が持っていると、
それは女性から盗んだものと誤解される可能性がある。

これらの理由で、 現在、私の「ガマグチ」は、
引き出しの中に封印されているのであった。

(もっとも、封印が解かれる日は間近かもしれない。。。)

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子供の頃を振り返ってみよう。

私が小学生の頃に愛用していた財布は
100円玉、50円玉、10円玉 をそれぞれ、
別々のレール(計3本のレール)の中に収容できる財布だった。

5円玉と1円玉は、
その硬貨のサイズから50円玉のレールの中に入れていた。
まだ、500円硬貨が発売されていない時代の事である。

このレール型財布の使い心地は、実に良かった。

何と言っても、
わずか数秒で自分の取り出したい硬貨が取り出せる素晴らしさ。

レジでの支払い時間を短縮化できる。

従って、自分の後ろに並んでいる客を待たせることも無い。
(私の、人目を気にする性格はこの頃既に形成されていた)

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だが、この財布を使用する上で、
2つ我慢しなければならない問題があった。

1つ目は、 50玉と5円玉と1円玉が
1本のレール中で混在しているので、
別の硬貨を取りだしてからでないと
奥の硬貨を取り出せないということだった。

だが、硬貨を取り出すこと自体は非常に容易であるという、
この財布の特性から、
それ位の手間はそれ程は苦にはならなかった。

2つ目は、
3本のレールにはそれぞれ割り当てられた硬貨を
装填(そうてん)しておく必要があることだった。

もし、ランダムに硬貨を装填してしまうと、
硬貨を取り出すときに、
3本のレールを全て目視サーチして、
必要な硬貨を探し出さなければならない。

これでは、普通の財布と同じだ。

「レール式財布」を効果的に使用するには、
常に硬貨の種類毎に分類整理して、
適切なレールに装填しておくだけの「マメ」さが必要なのだ。

では、その整理作業を一体いつ実行すればいいのだろう?
本来ならば、お釣りをもらったすぐ後に
各レール毎に対応した種類の硬貨を装填するのがベストだ。

もし、
お釣りの硬貨はとりあえず、ランダムに装填しておけばいいや!

などと手を抜いたりすると、
すぐその後に、別の買い物をした時に
適切な硬貨を取り出すのに手間取ることになるのだ。

だが、実際問題として、
買い物の直後にお釣りの硬貨を1つ1つ
対応するレールに装填していく作業は
実に面倒くさいものである。

また、友人や同僚と一緒だったりすると、

おい、お前何やってるんだ〜!

と言われ、変人扱いされることになる。

恋人と一緒にいたら、あきれられること間違い無しだ。
最悪な場合は、

あなたのような偏執的な人とはうまくやっていく自信は無い。
サヨナラ〜!

ということにもなりかねない。

結局、
受け取ったお釣りの硬貨は とりあえず、
ズボンのポケットにジャランと入れるか、
他の小銭入れに投げ込んでおく。

後で人目のつかない場所(トイレ、自分の部屋など)で、
それらの硬貨を一つ一つ、
対応した各レールに装填していく

という方法をとるしかないのだ。
しかし、確かに偏執的な作業ではある。

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さて、中学生になるといつの間にか
その「レール式財布」は使わなくなってしまった。

その財布は小学生向けのデザインで、
中学生になるとさすがに恥ずかしく感じるようになったからだ。

今でも、あのレール型財布の便利さは懐かしい。
もし、大人向けのデザインのものがあれば、
買って愛用するだろう。

だが、外側のデザインだけ変わればいいという訳ではない。

小学生の頃には無かった500円硬貨の存在だ。
500円玉、
100円玉、
 50円玉、
 10円玉、
  5円玉、
  1円玉

の計6レールを実装して欲しい。

それと、子供の頃よりも持つ紙幣の枚数は増えている。
また、複数のカードを入れるスペースも必要だ。
全体的に大型の財布となるだろう。

どこのメーカーでもいいから、
私の理想の財布を作ってくれないだろうか?

私のような財布フェチは日本全国に1万人はいるはずだ。

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極楽座連載エッセイ「設計図」第36回テーマ
「理想の財布」
流音弥(2001年11月5日)より
2001年11月10日加筆

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