年越しそば争奪戦
今日は大晦日だ。
大晦日と言えば年越しそば。
なぜ、大晦日にそばを食べるのだろうか?
大晦日に年越しそばを食べるようになったのは、
江戸において、江戸時代中期の頃だそうだ。
生活に余裕がある豪商
(商人の中でも特に裕福な層)の間で、
月末にそばを食べる「晦日そば」
大晦日にそばを食べる「年越しそば」
の習慣が定着した。
晦日(月末)にそばを食べると、
1ヶ月間の毒素を体外に排出する
効果があるとされた。
特に大晦日(年末)にそばを食べることによって、
1年間にたまった罪や汚れを、
お祓い清めることができるとされ、
神事として行われてたのである。
なお、庶民(商人や職人)に、
年越しそばを食べる習慣が定着したのは、
東京では、明治に入ってからのことだという。
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年越しそば
細く長くとの縁起から、大晦日の夜にそばを食べる風習。
また、そのそば。晦日(みそか)そば。[季]冬。
(大辞林 第二版 より)
大晦日または節分の夜に食べる蕎麦。季・冬。
(広辞苑 第五版 より)
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さて、今日は大晦日だ。
あまのじゃくな私も、
この日ばかりは、世間の風習に従う。
夕方6時30分ぐらいに、近くのスーパーに出掛けた。
年越しそばを買うためだ。
いつも利用する自宅に一番近いスーパーに行き、
そば売場へ直行する。
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年越しそばは、やはり生麺に限る。
乾燥麺も嫌いではないのだが、
乾燥麺は私の中では保存食の部類に入る。
インスタントラーメンと同じで、
わざわざスーパーに食料買い出しに行くのが
面倒な場合に重宝する。
給与前で財布の中が空っぽの場合の非常食でもある。
実際、乾燥麺は、
日本においても、
保存食として作られてきたという歴史がある。
味の劣化を防ぐための様々な工夫があるという。
だが、もし、買ってすぐに食べるのであれば、
若干、味の劣る乾燥麺をわざわざ買う必要は無いだろう。
1年に1度の、せっかくの年越しそばだ。
生麺でそばを食べたいという、
庶民のささやかな贅沢くらい許されてもいいはずだ。
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さて、そば売場コーナーにいくと、
無い、無い、無い!
そばが無い!
1つもそばが見あたらない。
もう売り切れてしまったようだ。
なぜ、大晦日なのに「そば」を切らすんだ〜!
まだ、6時半だから、
閉店時間まで1時間半はあるじゃないか?
大晦日の年越しそばを楽しみにしている人が
どれだけ、日本全国にいると思っているんだ?
品切れほど、お客の信頼を失う物は無い!
商売の鉄則を忘れたのか?
ましてや、今日は大晦日だ。
1年に1度しか訪れない、クリスマスと同じくらい、
いや、日本人にとって、それ以上に大事な日。
日本の大晦日の過ごし方において、
「日本レコード大賞」
「紅白歌合戦」
「除夜の鐘」
「年越しそば」
「初詣」
の1つでも欠けてはならないのだ。
私は、キレそうになるのを必死でこらえながら、
空っぽの買い物かごを乱暴にかご置き場に放り込んだ。
やや遠いが大きな売場面積をほこるスーパーに
急ぎ足で向かった。
残された時間は少ない。
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ところが、そこでは、
驚くべき状況が私を待ちかまえていた。
このスーパーでは、そば売場自体が見つからないのだ。
店内くまなく探しても、そばの「そ」の字も無い。
普通、そばは、うどんや焼きそば、ラーメンなどの
生麺の売場に並んであることが多い。
同じような調理法の食品をグルーピングして、
近くにまとめて配置するのは、
ストアーレイアウトにおける基本中の基本だ。
だから、当然、生麺コーナーを探せば、
そばのコーナーも当然、そこにあるはずなのだ。
だが、うどんの売場は見つかったが、
その左右を見渡しても、そばが無い。
驚いたことに、
そばが置かれていたという形跡が無いのだ。
「そば生麺」と小さく書かれたコーナーラベルさえ無い。
店内ポップで大きく「年越しそば」と書かれていても
不思議ではないこの大晦日にも関わらずだ。
このスーパーでは、
そばを扱っていないのだろうか?
そんな馬鹿な。。。
いやしくも「そば」は、
日本の食文化を代表する食べ物だ。
しかも、年越しそばは、
大晦日にもっともよく売れる目玉商品の1つなのだ。
スーパーが利潤追求を目的にしている限り、
そばを扱わないはずがないのだ。
きっと大晦日だから、目立つところに、
年越しそば専用コーナーを設けているに違いない。
私はそう考えて、スーパーの中を何度も周って探索した。
知らない人が私の動きを見たら、
さぞかし怪しい不審人物だと思ったことだろう。
結局 、そば売場は見つけることができなかった。
仕方が無いので、近くにいた若い男性店員を捕まえて、
「そば売場」を尋ねた。
彼も、やはり、
うどんなどが置かれている麺類コーナーへ行った。
「あれ〜、おかしいですね〜。
ちょっと待ってて下さい。」
と言って足早に走り去っていった。
待つこと5分。
さっきの店員は何をしているんだ!
誰かに聞くにしたって、
いくらなんでも5分はかからないはずだ。
私は、このスーパーにいても時間の無駄だと判断し、
店を出た。
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最後の望みは、自宅近くの小さいスーパーだ。
だが、このスーパーは
店舗スペースが狭いだけでなく、
品数も少なく、商品陳列も雑然としている。
店内の内装も余りきれいだとは言えず、
なんとなく、生臭い臭いが店内に漂っている。
それこそ、昭和40年代のスーパーといった感じ。
普段ならば絶対に利用したくないお店なのだ。
しかし、 ここは贅沢を言っている場合ではない。
店内に入ると、早速そば売場へ。
あった〜!
10袋ほど残っている。
あと5分遅かったら、もう無くなっていたかもしれない。
さっきのスーパーで、店員を待たなくて良かった。
やれやれ、これで年を越せる。
私は憑き物が落ちたように、穏やかな気分になって、
そば麺6袋(2食分)と
そばつゆの素を買って、家路についた。
ちなみに、1人1食3袋というのは、
普通の人から見るとかなり多い分量らしい。
私は元々大食漢(大食いとも言う)なので、
ちょうど良い量なのだが。。。
そう言えば、
去年の大晦日の夕方も
こんなバタバタした展開だった。
そば麺を買った店も、確か最後のスーパーだった。
来年の大晦日こそは、
もっと早い時間帯にスーパーに買い出しに行かなくては。
そうすれば、こんな目には遭うことがないはずだ。
と心に堅く誓った私であった。
それにしても、
去年の大晦日にも同じ事を考えたような気がするのは、
気のせいだろうか?
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流音弥
2001年12月31日







