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お眼鏡にかなう眼鏡屋さん(正直編)

今回のメガネも、メガネチェーン店で購入した。

いわゆる普通の小さな眼鏡屋でも別に構わなかったのだが、
先日、回転寿司を食べに行ったその帰り道で
たまたま、その店に出くわし、
「いい機会だから、メガネを新調しようかな!」
と突然思い立った訳である。

もちろん、これには伏線がある。
5年近くかけていたので、デザインにも飽きてきたこと、
イメージチェンジでもしようかという気分だったこと、
それに加えて、
そもそも、これまで使っていたメガネは、
すごく気に入って買ったメガネでは無い
という理由から、
1年ほど前から、
メガネの買い替えを考えるようになっていたのだ。

5年前に買ったときは、少しはおしゃれに見えたデザインも、
今ではなんだか物足りなく、
ジジ臭ささえ感じるようになってきた。
たかがメガネ、されどメガネ。
メガネのデザインは
その時代の流行、センスや気分を反映しており、

ファッションアイテムとして無視できない存在である。
もともとファッションに無頓着な私であっても、
メガネくらいはお洒落したいなどと思うのだから、
人の心理は不思議なものである。
「メガネは顔の一部です♪」
という東京メガネのCMがあったが、
まさにその通り。
メガネのデザインによって、
知的にも、冷酷にも、可愛くも、軽薄にも
イメージを換えることができる。

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先のエッセイにも書いたが、
その時に買いたいと思う「衝動」が大事である。
自宅で「買おうかな〜」などとのんびり考えている場合は、
本当に欲しい段階ではない。
欲しい気持ちが強ければ、わざわざ買いに行くはずだし、
他の用で外出している際にも、そのことを思い出すはずである。
実際、私が半年前から
メガネを買い換えようと思っていたにも関わらず、
まだ買っていなかったのは、
わざわざ買いに行くのが面倒だったし、
また、外出していてもそのことを思い出さなかったからである。

つまり、私にとってメガネは、
まだその程度の「欲しさ」だったということだ。

それが今回、外出時にたまたまメガネ店に遭遇したとは言え、
メガネを買うことを思いついたのだ。
まさに、機は熟した。
今こそ、メガネを新調するべき時である。

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店内に入ってあれこれ選んでいると、
女性の店員がそそくさと近寄ってきた。
「メガネをお探しですか?」
「ええ、自分に似合うメガネを探しているんですが、
 余り無いみたいですね。」
「そんなことは無いですよ。どんなメガネをお探しですか?」
「今流行りの細いメガネは、見える範囲が狭そうだから駄目。
 だからと言って、余り大きいメガネは野暮ったいから駄目。
 例えば、こんな感じの中くらいのサイズがいいんです。」
「フレームの色はどんな感じが良いですか?」
「黒、メタリック、ブルーが好きなんです。」
「少々お待ちください。いくつか、探してみます。」

店員が戻ってくるまでの間、
私は、普段だったら絶対にかけないようなメガネを
次々にかけてみたりして遊んだ。

ノンフレームのメガネは、
フレームが視界を邪魔しないからいいな〜。
人が自分を見た時、
フレームが無いからメガネをかけていることを
それほど意識させないし。
でも、人が見て余り何も感じないんじゃ、
メガネをかける方としても面白くないな。

店員が戻って来たので、尋ねてみた。
「ノンフレームのメガネなんてどうでしょうね。」
「フレームが無いのは確かに見やすいのですが、
 耐久性がフレームのあるメガネの半分以下に落ちます。
 ゆがみやすいですしね。」
おいおい、そんなストレートに言ったら、
ノンフレームを買いに来た客は帰ってしまうぞ。

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店員が持ってきたメガネフレームは全部で5つだったが、
その中で、ピン!と来るメガネが1つあった。
「これ、フレームの色とデザインがなんだか面白いですね。」
「実はこれは、私が先週本社に行って、
 選んで持ち帰ってきたものなんです。
 デザインがいいでしょ?
 ちょっとかけてみて下さい。」
「大き過ぎず、小さ過ぎずいい感じですね。
 他のとかけ比べてみますね。」

他のフレームは余りぱっとしなかった。
1つだけ、メタリック色でがっしりした構造のフレームがあって
目を引いたが、
実際にかけてみると、メガネの端がややつりあがった形をしていて、
自分の顔のバランスには合わないように感じた。
「丈夫そうだし、色もいいんだけど、ここの形がちょっとね。」

結局、私は最初に選んだ、
店員がわざわざ本社で見つけてきたという、
お薦めのフレームを買うことにした。
店員は、自分のセンスが認められたのが嬉しそうだった。

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視力検査はやはり測定器による方法だったが、
私がこれまで経験したどの検査よりも
丁寧に測定する方法であった。

5年前にメガネを購入した時はもっと簡単な検査だった。
それだけ技術が進歩したということなのだろうか?
大きい店舗だからそれだけ設備がしっかりしているのか?
もっとも、今回の店のチェーングループは、
前回のチェーングループと比べて大手である。
単純に比較するのには無理があるかもしれない。

とにかく、
これだけしっかり視力を測定してもらえるのであれば、
できあがるメガネもいいものができるに違いない
との期待感が高まったのは事実である。
結果的には大差なくても、
丁寧に視力を測っているという姿勢を示すことが、
店への信頼につながるのである。

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さて、問題はレンズである。

メガネはフレームよりもレンズの方が値が張る。
よく、新聞の折込チラシで、
「メガネフレームが5000円!」
という広告を見かけるが、
あれは、レンズ代を含んでいない金額だ。
実際レンズ代で2万円近くかかるので、
結局、総額2万5千円かかってしまう。
それを「5000円」というどう見ても安い金額をアピールして
客をおびき寄せようとしているのだから、
半分詐欺のようではある。

レンズにもピンからキリまであって、
安いものでは1万円程度のものもあるが、
それらは傷つきやすかったり、
分厚かったり、
光の屈折率が低いなど、
安かろう悪かろうとなってしまう。

そもそも、物がよく見えるようにメガネをかけるのであるから、
余りお金をケチって、よく見えないメガネを買うのであれば、
本末転倒である。

ところで、私の場合問題となるのは、
最低でも標準性能のレンズを購入することは当然だとして、
それ以上、どこまで高い性能の向上を求めるか、
また、レンズの性能向上によるコスト上昇に見合うだけの、
QOL(Quality Of Life:生活の質)の向上・改善が得られるか?
ということである。

1万円高いレンズであっても、
それによって5%しか見え方が向上しないのであれば、
わざわざ高いレンズにする程の価値は無いのだ。
もし、20〜30%も向上するのであれば、
1万円さらに出す価値はあるかもしれない。
その中間であれば迷うところである。

店員が提示したレンズの価格表は、
1万5千円〜3万5千円まで様々だった。
「色々なのがあって迷いますね。どれがお薦めですか?」
私は、試しに聞いてみた。
「この2万2千円のものが、
 性能的にも値段的にもお手ごろでお薦めです。
 これより下がると、性能がかなり落ちてしまいます。」
店員は、いかにも無難そうなものを薦めてきた。

私は、値段が高くても見え方が大きく改善されるのであれば、
多少値段が張っても構わない旨を店員に伝えた。
お金をケチって、後で後悔するようなものは買いたくなかった。

「お客様の場合、近視より乱視が強いのですが、、
 乱視の場合は、レンジの厚さが近視よりも薄く済むので、
 これより屈折率の高い高価なレンズであっても
 それほど見え方は変わりませんよ。」

「おいおい、
 こっちはお金に糸目はつけないって言っているんだぞ。
 せめて、ワンランク上の商品を薦めたらどうなんだ?」
と思いながら、
「じゃあ、この1つ上の商品と比べたらどうですか?」
と聞くと、
「5千円ほど高くなりますが、先ほど申しましたように、
 乱視の場合は、それほど見え方は変わりません。
 それならば、最初のこのレンズで十分だと思われますが。」

「やれやれ、こんなに儲け心の無い店員も珍しい。」
私は、根負けして、
2万2千円の値段においても性能においても「妥当な」レンズ
に決めたのだった。

その時、店内に貼ってあった「社訓」が目に入った。
「商品を売ることを競うより、サービスを競え」
そういうことか。
不必要に高価な商品を薦めるのではなく、
お客にとって最適な商品を薦める。
それがこの店の「サービス」だということなのだろう。

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流音弥
2003年3月22日

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