愛しの皮付きウインナー
初めに言っておこう。
今回のエッセイは断じてエッチネタではない。
ご安心を。
あれは私が中学生の頃だったろうか、
テレビのCMで「シャウエッセン」のコマーシャルが流れると 、
いつも気になって仕方がなかった。
なぜなら、CMに出てくる大人や子供達が、
おいしそうにシャウエッセンをかじる瞬間に
「パリッ」、「プリッ」、「ポリッ」と
音がするからだ。
ウインナーをかじって音がする訳が無い。
あれは、おいしさを表現する為に誇張しているのだろう。
テレビCMではよくやる手法である。
子供ごころながら、私はそう信じていた。
そして、私が成人するまでの間、
私の家では、シャウエッセンが食卓に上ったことは
1度も無かった。
すかいらーくやロイヤルホストのようなファミレスで、
家族や親戚と食事をすることがあれば、
皮付きウインナーの1つや2つ、
食べる機会もあったのだろうが、
食事代節約の為か、
残念ながら大抵は家の中での食事だった。
親戚の家で出てくるのも、和食中心で、
てんぷらは色々な種類のものがたくさん出てくることはあっても、
皮付きウインナーは決して出てこなかった。
運動会や遠足の弁当はどうだったのかって?
もちろん、ウインナーは弁当のおかずの常連だった。
だが、全て皮無しウインナー。
斜めに切って、切り口に4本十字に切れ目を入れ、
フライパンで炒めると、足が外側に反って開いてきて
いわゆる「タコさんウインナー」のできあがり。
しかも、いつも赤いウインナーという気の入れようだ。
母は色のついてないウインナーだと、
子供が喜ばないと信じていたようだ。
共働きの為、
普段から子供の世話をあまりできないでいること
に対するせめてもの罪滅ぼしだったのだろうか?
いや、それも多少はあるかもしれないが、
単に面倒だったので(仕事も忙しいし)、
タコさんウインナーのワンパターンが一番楽だったのだと思う。
従って、新しい食材を研究して、
皮のあるウインナーに挑戦!
ということは、忙しい母にとってある訳が無かった。
---------------------------------------------------
私は、とうとう大学生になるまで、
シャウエッセン(皮付きウインナー)を食べることなく
生きてきた私に思わぬ展開が待ち受けていた。
大学1年の時は、
自宅から数時間をかけて都内の大学まで通っていた。
遠距離通学というやつだが、
ただ、毎日往復するだけでは勿体無い。
自由に使えるお金が欲しかったので、
自宅へ帰る路線沿いのある駅の近くの家で、
週2回、家庭教師をすることにした。
家庭教師をするのは、初めてだった。
松田優作が演じていた映画「家族ゲーム」の家庭教師
のようにはさすがに振舞えなかったが、
少なくとも、礼儀正しいおとなしい家庭教師だったとは思う。
家庭教師をしてびっくりしたのは、
夜食(それとも、おやつというべきか)。
1回2時間の勉強の途中に、
生徒の母親が食事をを差し入れてくれる。
別に手の凝ったものではなく、
チキンナゲットやポテトフライなど、
おそらく電子レンジでチンしただけなのだろうが、
夜食の差し入れなど、
受験勉強中でもしてもらったことがない私にとっては、
涙が出るほど嬉しくかったものである。
普通の家庭のお母さんとはこういうものなんだなぁ〜、
と、ひどく感激し、
君には、こんな素敵な(これが普通なんだろうけど)
お母さんがいるんだから、もっと勉強せにゃ駄目だよ!
と生徒の尻を叩いて、授業を進めたものである。
毎回、出てくる食べ物が違うので、
今度は何が出てくるかな〜
と、家庭教師に行くのが楽しみになってくる。
ある時は、私の大嫌いな「グラタン」が出てきた。
器も含め、かなり、凝った料理だったので、
食べない訳には行かず、無理やり口に押し込み飲み込んだが、
授業の後半は、あまりの気分の悪さに、
どう教えたのかさえ記憶が無い。
帰り際に生徒にそっと
「頼むからグラタンだけは出さないでね。」
と手を合わせてお願いした。
確か、その次の家庭教師の時のことである。
ウインナーが出てきた。
しかも、私が子供のときから見慣れていた
「皮無しウインナー」ではない。
そう、まさしくこれこそ、
テレビのCMで何百回と見せ付けられてきた
「シャウエッセン(皮付きウインナー)」だ。
もっとも、この皮付きウインナーが
正真正銘の「シャウエッセン」であったかどうかは自身が無い。
他のブランドの皮付きウインナーであった可能性も十分ある。
だが、私が子供の頃から見慣れていた皮付きウインナーのCMは
「シャウエッセン」だけだったので、
私にとっては、
皮付きウインナー=シャウエッセン
「皮付きウインナー」は「シャウエッセン」と同義語だったのだ。
マーケティング的に言えば、
ブランド戦略が成功した良い例だと言える。
携帯カセットレコーダー(一般名)=ウォークマン(ブランド名)
ステープラ(一般名)=ホチキス(ブランド名)
のように、一般名ではなくブランド名の方をより認知し、
日常的に使用するようになれば、
その製品は成功を約束されたも同然である。
さて、本題に戻ろう。
子供の頃からテレビの画面だけで見るしかなかった、
憧れのあの皮付きウインナー(シャウエッセン?)が目の前にある。
テレビ番組でレポーターがこうもりや蜂の子を食べる
のとは違った種類のおそるおそるさで、
皮付きウインナーを口に運ぶ。
最初のひとかじりで、私は飛び上がりそうになった。
「パリッ」
本当に音がしたような気がした。
音自体は非常に小さいものだったと思うが、
皮が裂ける時の歯の感触は、まさに、
「パリッ」
なのである。
これか〜。これなのか〜。
これが、皮付きウインナーなのか〜。
本当に、本当に音がするよ。
思わず目頭が熱くなってきた。
先生、目が潤んでるけど、カラシが強かったの?
恍惚状態になっている私をみて心配した生徒が、
心配そうに覗き込む。
あれほどの衝撃は、
私が今まで生きていた中では他には無い。
生まれて初めてエッチした時の感動よりも、遥かに上を行く。
精神的エクスタシーは肉体的エクスタシーを超越するのだ。
---------------------------------------------------
なぜ、私が大学生になるまで、
皮付きウインナーが我が家の食卓に上らなかったのか?
今思えば、不思議でならない。
私の両親が皮付きウインナー(シャウエッセン)の存在を
知らなかったのだろうか?
いやそんなはずは無いだろう。
テレビCMであれだけ、
家族や友人達とおいしそうにシャウエッセンをかじるシーン
を何度も繰り返し放送されれば、
いやがおうでもその存在を知るだろうし、
買って子供達に食べさせてみようともするはずである。
スーパーに行けば、
皮無しウインナーのすぐ隣に皮付きウインナーが並んでいる。
目に入らない訳が無い。
それに、ともに教員であった父と母は、
いわゆる「飲み会」で、
何度かは皮付きウインナーを食べていたはずである。
つまり、私の両親は、
皮付きウインナーの存在を知っていた。
従って、皮付きウインナーを食べたときに
どんな音がするか、
口にどんな感触があるか
知っていたに違いない。
では、なぜ我が家の食卓には上らなかったのだ?
唯一考えられる理由はただ1つ。
皮無しウインナーは皮付きウインナーより値段が安い!
そう言えば、母と一緒にスーパーに行った時も、
母は迷わず、皮無しウインナーを選んでいた。
最近では、皮付きウインナーが主流になっていて、
値段もかなり下がってきてはいるが、
当時は、皮無しに比べてそれなりに高かったような気がする。
しかも、食べ盛りの3人の子供(しかも、男の子)を抱えていれば、
当然、値段の安い方を選ぶのは当然かもしれない。
全ては、貧乏のせいか。。。
このトラウマ?のせいか、
私が、大学2年から東京で一人暮らしするようになった後、
好んで買うようになった食材の1つが、皮付きウインナーである。
子供の頃食べられなかった分を取り返すが如く、
毎週のように食べ、
「パリッ」「プリッ」「ポリッ」という食感を楽しんだものである。
そして、常に冷蔵庫の中にストックしていた習慣は、
10年以上経った今でも身に染み付いている。
=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
シャウエッセンWEBサイト(ニッポンハム)
http://www.nipponham.co.jp/seq/top.html
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
流音弥
2003年9月6日






























![【送料無料】[産直大阪府]大阪 竹田屋総本店 ウィンナー、ソーセージセット](http://image.rakuten.co.jp/wshop/data/ws-mall-img/sanyodo/img80/img1021145469.jpeg)









![[産直群馬県]湯本さんのウィンナーセット(冷凍発送品)](http://image.rakuten.co.jp/wshop/data/ws-mall-img/otokonodaidokoro/img80/img1030468613.jpeg)
