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日本の精子バンク

前回は、精子バンクについて簡単に説明した。
精子バンクなんて、まだまだ外国(米国)での話だ
と思われている方も結構いるだろう。
ところが、実は、日本にも精子バンクがいくつか存在する。

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「日本における初めての精子バンク」
と銘打った派手な宣伝により
数年前、新聞・週刊誌の紙面をにぎわせた企業がある。
西麻布に本社を置く、「エクセレンス」という精子バンクで、
1996年5月に設立された。

あらゆる検索エンジンで
「精子バンク」「精子銀行」というキーワードで
サーチしてみたが、
精子バンク専門のホームページは他には皆無である。
おそらく、ホームページを開いていない精子バンクも
いくつか存在するのだろうが、
ここでは、成功事例?(話題性としての成功)
(実際にどれだけの利益を上げているかは不明だが)
として、 注目してみよう。

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基礎知識:

AID(非配偶者間人工受精)

   夫(配偶者)以外の者から精子の提供を受け、
   その提供された精子を女性の子宮に注入して
   人工的に受精させ、妊娠させる不妊治療法をいう。

   従来は一部の大学病院で、
   不妊治療の一環として行なわれていた。

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エクセレンスは東京都内の通信販売業者が始めたもので、
そのバックボーンのためか、
当初かなりのパッシングを浴びた。

厚生省、産婦人科学会などによる締め出しは
かなりのものだったらしい。

また、当初から、インターネットを駆使して、
センセーショナルな宣伝活動を行ったのも
業界(?)を刺激した一因である。

「○○病院では。。。」と実名を上げているのも、
神経逆なでしている。

だが、これまで倫理的側面やプライバシーに関わる問題として
クローズに扱われてきた生殖問題の壁を一気に破壊した
「功績?」自体は、
その方法論はともかく評価できるのかもしれない。

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エクセレンスの理念自体は実にシンプルかつ明快である。
当時、国内の大学病院で細々と行われてきた
非配偶者間人工授精(AID)治療では、
どんな容姿の子供が産まれてくるか選ぶことが全くできなかった。

精子自体、数人分を混ぜてしまうので、
医師でさえ、どんな子供ができるかは予測できない。

それに対して、エクセレンスは、
精子提供者(ドナー)をバンク利用者が直接選び、
夫と似た資質(容姿、性格も含めて)や
好感の持てるドナーを自分で探せる
「対面方式」を採用した点が、
当時実に画期的であった。

顧客の満足する商品を適切な品質と価格で提供する
というビジネスの基本からすれば、
至極、当然の発想であると言えよう。

医療業界ではなく、
通販業者だからこそできたことなのかもしれない。

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「アメリカの精子バンクでは、
精子提供者の詳細なデータを見て選べますが、
実際に会うことはできません。
カタログショッピング的な方式です。」

このような表現にも、
「対面方式」に対する自信がうかがえる。

対面時間は30分程であるが、
写真だけよりも遙かに安心できる。

確かに、写真だけでどんな人かを判断することはできないし、
写真ならばいくらでも修正はできるし、
その為の業者も多い。

お見合い写真で雰囲気が良かったので会ってみたら、
全くの別人だったという話はよくあることだ。

「AIDを通じて子供が産まれたならば、
当然夫婦の子供として育てるでしょう。
子供にはもちろん、周囲の人達には
AIDの事実は隠すことになります。

そうすると、精子提供者が夫と容姿・雰囲気といった点で
違いがあればあるほど、
全然夫に似ない子供ができることになりますね。
そうなれば、様々なトラブルが起こるであろうことは、
容易に想像できます。
 (以上、ホームページより抜粋)」

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自分が、親にちっとも似ていないことで、
昔ならば、
「もしかしたら自分は、橋の下で拾われた子かもしれない」
と悩むところだが、 現代ならば、
「もしかしたら自分は、
 精子バンクの精子で生まれた子かもしれない」
と悩むところだろう。

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エクセレンスのターゲット層としては、
不妊カップルだけでなく、
「シングルマザー」も重要な顧客であるととらえている。

なお、日本の産婦人科病院では
独身女性への対応は原則として不可。

アメリカの精子バンクの利用者の30%は
シングルマザー希望者であり、
彼女らを積極的にサポートする姿勢を明確に打ち出している。

「医療」というよりも、まさに「サービス業」、
エステに行く気分で、精子バンクへ行こう。。。

これまでのような悲壮感は、みじんも感じられない。

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ドナーの報酬としては、

・対面時に、往復の交通費実費を支給。
・健康診断では、検査費用実費+交通費実費を支給。
・一度の精子取り出しにつき、報酬として3万円を支給。

学生にとっては、実入りの良いアルバイトかもしれない。

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登録から報酬受取までの手順も明確に決められている。
安心感を持ってもらうには、これが一番。
(以下、ホームページより抜粋)

 1:エクセレンスに登録処理
   (登録画面にて申込・写真も送付)

 2:利用者からの対面依頼があり当オフィスにてご対面。
   (場所〜西麻布)

   ※対面後に交通費実費を支給

 3:ドナーとして利用者から選ばれる

 4:病院にて健康診断。
   (最寄りの病院にて血液検査・精子検査等を行う)
   ※検査費用+交通費実費支給  

 5:ドナー契約書作成。(署名捺印)

 6:お客様の排卵日に精子取り出し処理。

   (エクセレンスオフィスにて)

   ※規定の報酬支給

 7:受精・出産が成功するまで、
   又は他のドナーに変更されるまで精子取り出し処理。

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ドナーの属性分類
(これもホームページより抜粋)

●年齢〜20歳から40歳

●既婚約40%・未婚約60%(既婚の多くは子供有)

●職業は学生2割・医師2割・会社員4割・他は自由業と公務員

●約80%が一流大学卒業。
 ミュージシャン・漫画家等の特殊才能がある方や、
 容姿端麗な男性も在籍。
 どちらかというと、いわゆるエリートを中心に
 ドナーを集めているところが、
 厚生省や産婦人科学会のひんしゅくをかった理由の1つである。

 しかし、ビジネス面から言えば、
 どんな属性かわからない人の精子に対して
 大金を支払う人がどれだけいるのか
 を考えれば、当然の事だろう。

 良い品揃えは、ビジネスの基本であり、
 顧客の嗜好に合った商品を提案・提供していく。。。

 これぞ、商品マーケティングの実践。

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さて、一番気になるのは利用料金。

・斡旋手数料は税込で150万円。
 受精が成功し、無事出産するまでサポート

・ドナーリストの閲覧(何度でも無料)

・ドナーとの対面は、1名につき1万円。

・ドナーの健康診断実費+手数料1万円。

・精子取り出し手数料は、税込6万円。

・受精手術費用は、税込4万円

あくまでも、上記料金は、目に付いたものを
リストアップしただけである。
料金メニューの変更や他の手数料があるかもしれないので、
興味のある方は、しっかり、ホームページで確認して頂きたい。

私は、エクセレンスの代理人では無いので、
いっさい、料金やサービスに対する責任は負いません。
あくまでも、自己責任ということで、
しかも、人生に関わる大事なことだから、
早まらないように。。。

エクセレンス
http://www.threeweb.ad.jp/~excelle/

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極楽座連載エッセイ「設計図」第8回テーマ
「日本の精子バンク」
流音弥(2001年1月26日)より

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