幸福の遺伝子
確か、3月だったと思うが、
お笑いコンビ「爆笑問題」の進行で、
日常の疑問探るTBSのテレビ番組「回復!スパスパ人間学」で、
「不幸の遺伝子」の特集があった。
私は、残念ながら、見ることはできなかったが、
数年前話題になった
「幸福の遺伝子」の裏返し特集だったようだ。
1998年、
「幸福の遺伝子」(早野梓)新潮社
という小説が出版された。
題名を見ると科学小説のようにも思えるが、
内容は、普通の小説である。
人間は、同じ出来事でも
幸福に感じる人とあまり幸福に感じない人がいる。
それらは、DNAの中に組み込まれている遺伝子の結果である。
これが、「幸福の遺伝子」の論点となっている。
例えば、職場で同じ単純な仕事を与えられても、
それを面白いと思える人や
単純なつまらない仕事でも、
そこから何かを学ぼうとがんばれる人は「幸福」な人で、
「くだらない」
「やってられないよ」
「こんなことをやるために会社に入った訳じゃない」
と不満に思う人は「不幸」な人ということになる。
どちらが、正しい考えであるかどうかは本人の価値観の問題で
周りの人間がとやかく言うことではないが、
どちらが、本人の満足度(幸福度)が高いかと言えば、
それは当然、前者であろう。
例え、その仕事が本当に「くだらない」仕事であってもだ。
そして、両者の違いは、
前向きに物事を考えられる人は
「幸福の遺伝子」を持っている。
何でも消極的に考えてしまう人は
「幸福の遺伝子」を持っていない、
または、「不幸の遺伝子」を持っている。
という遺伝子の有無に起因していると主張するのが、
「幸福の遺伝子」理論なのである。
---------------------------------------------------
ここで、突然、
「幸福の遺伝子」
「不幸の遺伝子」
を持ち出すから
一瞬、論理の飛躍を感じてしまうのだが、
冷静に考えれば、
「幸福」=「満足」
↓
満足感を感じる=満足感を感じさせる脳内物質が発生する
↓
満足感の脳内物質の発生量は、
各個人の遺伝子により決定される。
もちろん、発育過程のホルモンバランスや
身体機能形成上の問題、
出産されてからの外的環境による精神形成状態
による影響も大きく、
全てを「遺伝子」のせいにすることはできないが。。。
しかし、もし、
家族に似た性格(前向きかどうかという点で)の人が
実際に多く存在するのであれば、
それは、「遺伝子」による影響も考えても良いはずだ。
もちろん、同じ環境で育てば、
性格も似てくることは十分ありうるので
その影響も加味する必要があるだろう。
どこからどこまでが、「遺伝子」による影響であり、
どこからどこまでが、「環境要因」によるものなのか?
これは、「行動遺伝学」に常につきまとう問題である。
それを確かめるには、環境要因による影響を取り除けば良い。
つまり、別々の環境で、
兄弟(できるだけ年齢が近いと良い)を育てる。
全く異なる環境で、精神的環境も大きく異なれば、
性格も大きく異なった人物に育つはずである。
---------------------------------------------------
ここまでは、
可能性として考えられるのではないか
という姿勢で話で進めてきたが、
外交的な性格
内向的な性格
スリルを求める性格
新しもの好きな性格
などはかなりの程度で、
遺伝で決まる(遺伝子の影響を受ける)ことが、
これまでの研究で明らかになってきている。
遺伝子構成が全く同じである一卵性双生児を対象にした
アメリカの研究では、
生後2人が別々の家庭で育てられた場合、
例え生活環境や経済状況が全く違う家庭だったとしても、
本人が感じる幸福感の度合いはほとんど同じだ
ということがわかったという。
極端な例では、
一卵性双生児の職業、
恋人のタイプ、
子供やペットの名前、
好きな食べ物、
ファッション
これらが、ほぼ完全に一致していたという例もある。
以上から、人の嗜好や価値観は
実は遺伝子の影響を受け
幸福感でさえも左右し、
人の生き方まで決定づけてしまうと言えるかもしれない。
もちろん、環境要因を否定する訳ではない。
極端な環境は遺伝子の影響さえ凌駕する
ことも研究から分かっているからだ。
---------------------------------------------------
幸福感を左右する遺伝子を、
仮に「幸福の遺伝子」と呼ぶとすれば、
それを受け継いだ人は、
幸せな(正確には、幸せだと感じる)人生を送りやすい。
とてもうらやましい話だが、
人は「不幸(不満)」な状態から「幸福(満足)」を目指して努力し、
文明・文化を発達させてきた。
もし、現状で満足してしまったらそこで進歩は止まる。
それでも構わないというのならばそれでよいが、
全ての人が「幸福の遺伝子」を持っていたら
きっと、刺激の無い平和な世界に違いない。
おそらく、それが「天国」というものなのだろう。
ここまで読んできて気が付いた方もいると思うが、
実はこの話は、あのベストセラー
「脳内革命」に相通じるものがある。
=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
回復!スパスパ人間学
http://www.tbs.co.jp/spaspa/
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
極楽座連載エッセイ「設計図」第17回テーマ
「幸福の遺伝子」
流音弥(2001年4月18日)より







