メタンプロデューサー(屁こき)
前回のコラムで、
京都議定書と地球温暖化防止に関して取り上げた。
各国は、京都議定書で各国に義務づけられた
温室効果ガスの削減に取り組んでいるところだろう。
その中で、
ニュージーランドの取り組み方は
少し変わっているので紹介しよう。
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ニュージーランドの人口は380万人であるが、
飼育している羊は600万頭、牛900万頭と、
どちらも人口を上回っている。
人より、「メーメー」と「モーモー」の数の方が遙かに多いのだ。
さすが牧畜、畜産の国だ。
地理が大の苦手な私も、
ニュージーランドが牧畜の国だということぐらいは、
さすがに覚えている。
ニュージーランドの環境省の発表によると、
同国の排出する温室効果ガスのうち、
メタンガスが44%を占めるという。
しかも、このうち大部分が
羊や牛などの「反芻(はんすう)動物」が出す
ゲップやおならに含まれているのだという。
では、どんな対策をしているのか?
さすがに、牧畜を禁止する事は考えていないようだ。
具体的な対策としては、
1.家畜の消化器内でメタンを作るバクテリアで
メタン生成能力を低下、
あるいは全く生成しないバクテリアを
遺伝子組み換え技術等によって生み出す。
2.同上のバクテリアがいなくても
生きていけられる反芻動物の開発。
(この種のバクテリアは、
反芻動物の生存に必ずしも必須では無い
という報告がある)
3.消化される時にメタン生成の少ない牧草を開発 などがある。
なお、
3が最も有望で、現実的な解決策だと思われる。
2は、まだ、バクテリアと反芻動物との関係に不明点があり、
時間がかかりそうだ。
1は、逆に、メタン生成能力を強化したバクテリアを生み出しそうで
かなり、危険な予感がする。
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反芻動物とは、具体的には、
羊、牛、ヤギ、シカ、キリン、カバなどだ。
それらの胃が独特の消化構造を持ち、
その食べ方・消化方法からこの名がついている。
反芻動物の胃は四つに分かれていて、
口に近い方から第一胃、第2胃、第3胃、第4胃となっている。
反芻動物は食べた物を第一胃に入れたり、
口に出すことを繰り返して、つまり反芻(はんすう)して、
食べた物を消化していくのである。
よく、牛が草を食べた後でも、
いつまでもくちゃくちゃもぐもぐしているのを見たことがあるだろう。
あれが、「反芻」なのである。
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第一番目の胃(第一胃)には微生物がたくさん棲息しており、
発酵作用により食物の分解をする。
消化酵素や胃酸が分泌されることはない。
反芻動物は草を食べるが、
第一胃には繊維を分解をする微生物がたくさん棲息しており、
その微生物の分解によって出来た、
酢酸、プロピオン酸、酪酸などを吸収して
エネルギー源とすることができる。
これが反芻動物が草を食べても生きていける理由だ。
さて、この第一胃の発酵によって同時にガスが発生し、
ゲップやおならとして体外に排出される。
その多くは二酸化炭素とメタンだ。
このゲップやおならがニュージーランドの
温室効果ガスの大部分だというのは、
前述の羊・牛の頭数を考えれば当然なのかも知れない。
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オナラの成分は、
二酸化炭素、窒素、メタン、水素、酸素、硫化水素などからなる。
これらは、主に、
空気の呑み込み、ガス交換、腸内フローラの発酵により生じる。
発酵によって出てくるガスは、
ほとんどが二酸化炭素である。
メタンはメタン生成菌によって生成される。
人間の場合、
メタンが生成される人、
メタンが生成されない人
の種類が存在することが知られている。
ちなみに、メタンが生成される人を、
「畏敬」と「哀れみ」の念をこめて、
「メタンプロデューサー」と呼ぶそうだ。
このような体質の違いが出る原因は解明されていないが、
親が「メタンプロデューサー」であると
子供も必然的にそうなる可能性が高いという。
おそらく、遺伝的要因が関わっているのだろう。
ちなみに私の父は実に立派な「メタンプロデューサー」であり、
私も、めでたく、「メタンプロデューサー」として成長した。
そういえば、私には2人の兄弟がいるが、
それ程強烈な臭いのおならではなかった。
「おなら」の臭いはおそらく一子相伝なのであろう。
そして、私のおならのメタンの比率は
兄弟よりも高いに違いない。
可愛い我が弟よ、
幼い時に、さんざん握りっぺしてごめん!
さぞかし、臭かっただろう。。。
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それにしても、
なんと不名誉で恥ずかしい「プロデューサー」なのだろう。
「映画プロデューサー」
「音楽プロデューサー」
「WEBプロデューサー」
などと呼ばれた方が絶対に格好いいのだが、
そうは問屋が卸さないようだ。
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また、反芻動物はゲップをよくする。
その成分は二酸化炭素やメタンが大部分を占める。
これらも微生物の発酵によって生じた物であり、
うち、メタンの生成はメタン生成菌の働きによるものだ。
ヒトのゲップは反芻動物とは異なり、
腸内フローラの発酵によるものはほとんどない。
つまり、通常は臭く無いということだ。
ヒトの場合は空気の場合が多く、
食事の時に飲み込んだ空気や、
炭酸飲料を飲んだ時に
二酸化炭素がゲップとして出てくると考えられている。
しかし、飲食後に大腸に飲食物が届いた際に発酵が起き、
その時出来たガスの一部が吸収されて血流に乗って肺まで行き、
肺でガス交換された後、
呼気として口から出てくる場合がある。
つまり、ゲップが臭い人だ。
これを逆に利用して、
呼気中のメタン量を測定することにより、
「メタンプロデューサー」かそうでないかを判別することができる。
研究によると、
「メタンプロデューサー」の存在率は10%程度ということだ。
さて、あなたは、「メタンプロデューサー」かな?
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あとがき:
そうそう、電車の中などで
人間が口をもぐもぐしているからといって、
それは、「反芻」ではない。
きっとガムをかんでいるのだ。
しかし、もしかしたら、
本当に胃から口に戻したりして
「反芻」している人間が中にはいるかも知れない。
怖いから、皆さん、深く考えないようにしよう。
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結構笑えます。
参考記事:2001年7月28日、朝日新聞(世界のくらし)
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極楽座連載エッセイ「設計図」第29回テーマ
「メタンプロデューサー」
流音弥(2001年8月13日)より







