ゲノム解読がもたらす新たな細菌兵器の恐怖
第34話と重複してしまうが、もう一度おさらいしておこう。
今年の1月に、オーストラリアの研究者が、
マウスの病原ウイルスの遺伝子を操作しているうちに、
非常に危険なウイルスが偶然にできてしまった。
この操作を人間の天然痘ウイルスに応用すれば、
さらに毒性の高いウイルスを生み出すことができたという。
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現在、様々な生物のゲノム解読が急ピッチで行われている。
「○○○という生物の全ゲノムが完了した」
この手の記事は余り珍しいものではなくなった。
生物だけではない。
細菌やウイルスのゲノム解読もかなり進んでいる。
細菌のゲノムの大きさは人に比べたらはるかに小規模である為、
解読の対象としては最適である。
また、細菌やウイルスのゲノム解読は
医薬品の開発にも役立つため、
最優先で進められている。
だが、細菌の遺伝子の働きが解明されれば、
生物兵器開発に使われる可能性・危険性も増えてくる。
これまで、コレラ菌やインフルエンザ菌、
日本でも毎夏話題になる、病原性大腸菌O−157
など多くの、病原菌のゲノムが解読されされている。
インターネットでも結果は公開されており、
それらを利用すれば、より有害な細菌を生み出し、
強力な細菌兵器を作ることができるのだ。
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細菌のゲノム研究の悪用は、
単に細菌兵器の威力を高めるだけではない。
第9話「SNP」にも書かれているように、
人によってDNAの塩基配列は若干だが差があり、
家系や民族(人種)によって共通の特徴が見られることが
わかっている。
つまり、塩基配列によって、
家系や民族を識別することができるのだ。
近年のヒトゲノム研究の成果を応用すれば、
ある民族(人種)にしかない、
特有の塩基配列に対してのみ反応し、
発病、死に至らしめることができるような細菌を生み出すことが
技術的にも可能だ。
死に至らしめなくても、
発熱や悪寒や下痢症状を発症させるだけでも
敵の戦力(体力)を奪うという意味では十分効果がある。
また、「犬流産菌」を改良(改悪というべきかも)して、
感染すると子供が全て流産してしまうような細菌も考えられる。
長期紛争の場合には有効な手段だ。
人間の寿命を決定すると言われている
遺伝子の「テロメア」という部分を改変し、
敵の平均寿命を短くしてしまうことも、将来できるかも知れない。
以上のように、細菌兵器の可能性はとどまるところがない。
おそらく、人間のあらゆる疾患に対応した、
細菌兵器のバリエーションが考えられる。
そして、その民族(人種)に対して敵対心を持つ国家や組織が、
民族紛争や戦争の最終兵器として
これらの改良した細菌兵器を使う可能性が十分に予想されるのだ。
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人間を殺す手段としては、
「生物兵器(細菌兵器)」ほど残酷で卑怯な方法は無いのだが、
戦争下の人間にとっては、どの方法を用いるかは、
どうでもよいことなのかもしれない。
特に、「宗教」や「民族(人種)」の対立ほど、
残酷な戦争は無いと言われている。
人の根幹を成す部分の違いに立脚する戦いは、
人間としての理性と誇りさえも奪ってしまうのだろう。
「聖戦」とはよくぞ言ったものだ。
「人殺し」に「聖」も「不聖」も存在しない。
「人殺し」を正当化するための方便にすぎない。
汝、殺す無かれ!
という名言を残した神を信じる国家や民族が、
平気で他国の、他民族の人々を抹殺していく。
もうすでに戦う戦力も気力も無い国に
原爆を投下して、
何万人(いや何十万人か。。。)
の人々(軍人では無い)を一瞬で蒸発させた。
その結果、早く戦争を終結できた。。。
などとうそぶく。
どうやら、彼らの「宗教」では、
自分と同じ宗教を信じる集団に対しては慈愛を感じるが、
他の宗教を信じる集団に対しては、
殺戮と残虐の限りを尽くしても罪とはならないようだ。
また、時には、同じ宗教であっても、
国家や民族が異なれば、同上の対応となることも多い。
これもおかしな話だ。
本来、宗教とは、
国家や民族、人種の壁、
そして、宗教の壁さえも
超越するべきだと私は思うのだが。
そうなれば、戦争など起こり得ないはずだ。
もっとも、自分の民族中心の世界観を持ち、
他宗教への戦いを好む宗教もある。
全ての宗教が「平和主義」であるという訳では無いのだ。
そして、「聖戦」の名の下に
特定の民族や人種を標的にした
「細菌兵器」がおそらく使われるだろう。
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最後に:
人間の疾患治療の為の遺伝子研究は、
裏を返せば、
人間に疾患を発生させる細菌兵器の開発技術に
直接つながっている。
遺伝子研究結果を誰にでも公開するというのは、
ある意味で、人類の自殺行為なのかも知れない。
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流音弥
2001年8月19日







