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テキストメッセージ損傷−親指障害

帰宅途中の通勤電車の中、
私は、いつものようにしばらくの間本を読んだ後、
目をつぶり疲れた目を休めていた。

すると突然、ボコボコボコ!
とせわしない音が隣から。

なんだ、この音は?
パソコンのキーボードでも打っているのか?
それにしては音が違う。

私は、既に重くなりかけた目を開け、
音の主の方をちらっと横目で探った。

高校生とおぼしき女性が
ものすごいスピードで携帯電話のテンキーを
次々に押し続けている。

携帯メールなのであろう。
右手の親指一つだけで1秒間に2〜3つのキーを押している。
私も、携帯メールを時々使うが、
あそこまでのスピードはまず不可能だ。

まず、第一にキーの位置を体が覚えていなければいけない。
私の場合、まだ、
頭でキーの位置を思い出しながら打っているから、
駄目なのであろう。

携帯電話のブラインドタッチ、
今や、若者にとって必須のテク(技)であるに違いない。

携帯電話は、通常、利き手の親指だけで操作する。
時々、両手の親指でキーを打っているヒトを見かけるが、
それは、本来の打ち方とは言えない。

「本来の打ち方」とは、
私が勝手に決めつけているだけなのだが、

1. キーの数が少なく片手でも操作できること、
2.歩きながら操作する場合に両手を使っていると
  転倒時に危険であること

などを考慮すれば、
片手操作が「本来の打ち方」であると考えて差し支えないだろう。

さて、携帯電話を片手で操作する場合、
親指以外の指で操作することはまず不可能である。
なぜなら、携帯電話を安定して操作するためには、
手のひらのくぼみと親指以外の4本の指で
携帯電話をしっかりホールドする必要があるからである。

これ以外の持ち方をするのはかなり困難である。
(各指の長さが15センチ位あれば別だが。。。)

結局、親指だけがフリーとなり、
親指だけで全てのキーを操作する事になる。

例えば、私の使用している携帯電話では、
次の24個のキーがある。

J-SKY   ↑   メール
      ←F→
開始     ↓   電源
クリア   メモ  マナー
 1     2    3
 4     5    6
 7     8    9
 *     0    #

なお、 2〜9までのキーには26文字のアルファベットが
各キーにつき3〜4個割り当ててある。

また、かな文字については
1:あ行 2:か行 3:さ行
4:た行 5:な行 6:は行
7:ま行 8:や行 9:ら行
     0:わをん

と割り当てられている。

これらのキーの押す組み合わせによって
様々な文字を打ち込むことができるのだが、
たった一本の指でそれを行わなければならない為、
親指にかかる負担は非常に大きいものとなる。

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実は、日本よりもさらに携帯電話の普及率が高い北欧、
例えば、フィンランドでも、 ティーンエージャーは、
紙とペンで手紙を書くより、
携帯電話のキーでメールを入力する場合の方が多いそうだ。

フィンランドの携帯電話のショート・メッセージ・サービス(SMS)は、
音声通話に負けないくらい若者ユーザーに人気があるが、
熱心なSMS利用者の中には、
「反復運動過多損傷(RSI)」という障害にかかり、
高い代償を払っている人もいる。

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RSIとは、
長時間不自然な姿勢で座ったり動いたりすると発生する疾病
を指す。

※RSI:repetitive-strain injury あるいは、
    repetitive-stress injury

通例、手、手首、前腕、肩に異常をきたす疾患の総称となっている。
症状としては

◇ 疲労感や脱力
◇ 軽い、あるいは鋭い痛み
◇ ひりひりちくちくする感じ
◇ そして感覚の麻痺

まで多岐に渡る。

よく知られたRSIの形態としては、
「手根管症候群」と「腱炎(腱鞘炎)」の2つがある。
かつては精肉、トラックの運転、裁縫など
手を使う仕事につきものだったRSIだが、
今ではコンピューターの使用が原因で起こることが
もっとも多いという。

また、RSIによって手の動く範囲が狭くなったり、
永続的な障害が残る危険性もあるという

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これまでは、テレビゲームやポケットゲームなどで
RSIになったという報告が多かったが、
(米国では、「ニンテンドー指」と言うそうだ。)
最近では、携帯電話の普及に伴い、
携帯メールによるRSIが増えつつある。

特に子どもたちは携帯電話で
大量にメール送信をする傾向があるため、
手指が腫れたり炎症を起こしたりして痛みを生じやすいというのだ。

本来、子供の肉体はRSIを起こしにくい。
若いし細胞は大人より弾力性があるからだ。
さらに回復力も強い。

にも関わらず、結果として子供にRSIが多く見られるのは、
子供の方が、熱中して手指を使いすぎる傾向があるからだ。
イギリスのRSII協会のアンドルー・チャドウィック理事は、
この新たな流行病を

「テキストメッセージ損傷」(TMI)

と命名した。

TMIの流行は、世界中の子供達に広がっているのだ。

携帯電話のキー入力では、
細かな反復動作を何百回となく繰り返すという特徴がある。
110個近くもあるパソコンのキーボードのキーを操作する場合は、
10本の指に動きが分散し、
各指の反復動作の時間間隔は緩和される。

ところが、携帯電話では親指だけで操作するので休む暇がない。
さらに、もともと面積の狭い携帯電話の操作では、
動作が小さいために血液が循環しにくい。
結局、オイルの切れたエンジンのように動いていることになる。

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参考: 米労働省によれば、
パソコンのキーボードや電話のキーの
過剰な反復操作に起因する障害のため仕事を休んだ人は、
1999年には全米で1万1105人にのぼったという。
この割合は、全米労働者数の1%弱に相当する。

また、RSIは全米の仕事場で発生する
すべての損傷のうち約65%を占め、
これに費やされる金額は年間200億ドルにも達する。

今のところ、米国では携帯メールは余り普及していないが、
訴訟好きの米国市民の事だ。
関節炎になった親指について電話機メーカーを訴える
という事態が予想される。

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さて、 まるでタイピングスピードを競っているがごとく、
猛スピードで携帯電話を打うち続けて行けば、
TMIに間違いなくかかることになるだろう。

それを防ぐ為の三箇条を紹介しよう。

1.キーはできるだけゆっくり打つこと。
2.力は余り入れないこと。
3.長文は避けること。

我慢できるかな〜?
きっと、できないだろうな〜。。。

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流音弥
2001年8月27日

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