車椅子初体験
---------------------------------------------------
ショッカーによる改造手術の結果、
めでたく、ギブス男として生まれ変わった私は、
歩行補助器具として、松葉杖を使うこととなった。
だが、何せ初めての松葉杖。
リハビリ室で松葉杖の使い方の特訓をすることになった。
看護婦さんが車椅子を持ってきて、
リハビリ室まで送ってくれるという。
「車椅子」という言葉に私が驚いていると、
(車椅子に乗るのも初めてなので)
「別にケンケンで、リハビリ室まで行ってもらってもいいけど、
ちょっと距離がありますからね。」
私は、当然「車椅子」に乗る方を選んだ。
---------------------------------------------------
車椅子に乗りこんで、フットレスト(足台)の上に足を載せる。
ほ〜、これが車椅子というモノか。
「あっ、そうだ。
松葉杖で通勤する場合に、
会社に時差出勤の許可を申請したいので、
診断書を頂けませんか?」
看護婦さんは、
「ドクターに伝えてきます。ちょっと、待ってて下さいね。」
と言って、急いで立ち去った。
処置室には、私ひとりだけが取り残された。
「よっしゃ。
周りには誰もいないし、ちょうどいい機会だから、
自分で車椅子を動かしてみよう。」
---------------------------------------------------
車椅子の両脇の大きな駆動輪の外側に付いている
大きな輪っか(ハンドリムというそうだ)を回してみると、
思いの他、車椅子は簡単に動いた。
自分の全体重が乗っている割に、
動かす力は余りいらないようだ。
時々、駅や、路上やお店の中で、
自分でハンドリムを回して移動している
車椅子の方を見かけることがあり、
とても力がいりそうで、大変だと思ったものだ。
だが、実は、車椅子を動かす事自体は
それほど苦にならないのかもしれない。
また、最近は、電気駆動の車椅子で外出される方も多い。
むしろ、問題は、街中至る所にある段差や階段だろう。
---------------------------------------------------
私が車椅子を動かして遊んでいたとはつゆ知らず、
看護婦が戻ってきて、「さあ、いきましょうね。」
自分で動かすのと違って、
人に押してもらうことの楽なことといったら。
らくちんらくちん。
速い、速い。
子供の頃に、
保育所の隅にあったリヤカーに
友達と交代ごうたいで乗って遊んだのを思い出した。
揺れを殆ど感じずにスムーズに進むので、
それよりも、楽しいかもしれない。
もっとも、あのリヤカーの揺れが
それはそれで面白かったのだが。。。
いずれにせよ、リハビリ室までのわずか2,3分で、
私の車椅子タイムは終了してしまった。
もし、もっと車椅子に乗っていたいと言ったら、
看護婦はどんな顔をしただろうか?
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
流音弥
2002年3月20日







