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麻呂の誘惑

私は、4月の間、
お気に入りのサントリー「中国茶」ではなく、
「まろ茶120」(500cc)を毎朝コンビニで買っていた。

「まろ茶120」は、日本コカ・コーラから、
2003年2月より発売された緑茶飲料で、

健康をサポートする「カテキン」の量が
従来の同社製品よりも20%多い、
みずみずしくて飲 みやすい「健康緑茶」

を製品コンセプトにしている。

「まろ茶」というブランド名の由来は、
「まろやか」を語源とし、
中味の味わいを表現しているのだそうだ。

私は、てっきり、
平安時代以降、天皇またはこれに準ずる人が
自分を指して使っていた「麻呂(まろ)
が名前の由来と思っていたのだが
私の大きな勘違いだったようだ。

私の連想パターン:
 お茶宇治茶京都平安京貴族麻呂(まろ)

現在、まろ茶のCMでは、
井川遥が出演し、元ちとせがCMソングを歌う
というみずみずしいイメージのCMになっているが、
どうせなら、
平安貴族の姿をした俳優に
麻呂は、このまろ茶が大好きじゃ。」
と、オヤジが好みそうな駄洒落を言わせてみたらどうだろう。
できれば、CMの中で、
しつこく3回この台詞を繰り返すと効果的だ。

そうすれば、中高年男性による購買の増加は間違い無し。
もちろん、元々健康志向の強い女性層も引きずられるはずだ。
何十回となくCMで聞かされ続ければ、
洗脳(マインドコントロール)は完璧だ。

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さて、私が、そんな駄洒落CM無しに、
「まろ茶120」を買っていたのには訳がある。

それは、4月になってから
「まろ茶120」に「知恵の輪」のおまけがつくようになったからだ。

知恵の輪のおまけは全部で12種類あり、
鎖のついた透明なプラスチックの四角いケースに入っている。
知恵の輪が剥き出しになっているのではなく、
保管性能を向上させているところが素晴らしい。

知恵の輪は、外れた状態で管理するのはほぼ困難であり、
知恵の輪のパーツをなくしてしまう理由の多くは
保管の仕方に原因がある。
もちろん、知恵の輪を組み合わせた状態であれば、
パーツを失うことは無いかも知れないが、
それでも、知恵の輪自体を
机の引き出しの中に整然と保管し続けることは難しく、
大抵は、いつの間にか、知らぬ間に、
どこかに消えてしまっているのだ。
(いったい、どこに消え失せるのだろう?)

ところが、この知恵の輪のおまけは
ケースに収納されているので、
机の引出しに入れておいても、収まりが良い。
透明なので、中に知恵の輪が入っていることもすぐにわかる。

大抵のおまけは、
その後の収納性まで考えていないことが多いのだが、
今回の「知恵の輪」のおまけは、
実に良く計算されて作られていると言える。

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ところで、私は、今回のおまけの収納性に対して、
心底感動したから、「まろ茶120」を購入していた訳ではない。

どんなに収納性が良くても、
「おまけ」自体に魅力が無ければ、
元の製品を購入する意味が無いのだ。

つまり、私は「知恵の輪」のおまけだったからこそ、
毎日「まろ茶120」を購入していたのだ。
動物のキーフォルダーのような
チャチで子供だましのおまけなどでは、
私の心は動かされたりはしない。
以前、伊藤園の「お〜い、お茶」がおまけを付けていたが、
あのおまけは実にくだらなかった。
飲む時におまけをはずしたら、それはゴミ箱に直行だった。
貰い手も見つからなかった。

そう、実は私は「知恵の輪愛好家」なのだ。
自分から積極的に店を訪ね歩いてまで、
世界中の全ての知恵の輪を収集しよう
というほどの執着心はないので、
「知恵の輪マニア」とまでは行かないが、
店頭などで知恵の輪が売っているのに出くわすと、
つい買ってしまう。

数年前、コンビにのサンクスで
「世界の難解な知恵の輪」を売っていたことがあって、
1個あたり千円近くする高価なものだったが、
店頭にある知恵の輪を殆ど買い占めてしまい、
店員に変な目で見られたことがある。

中学生の時に、学年でキャンプに行った際、
大きくて難解な知恵の輪をお土産屋で見つけて、
それを解く事に夢中になり、自分の世界に入ってしまった。
やはりクラスメートの女生徒達から奇異の目で見られた。
知恵の輪は、数学の図形問題を解くのと似ている。
数学好きだった私には、「知恵の輪」は最高の遊び道具だった。

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私が知恵の輪のおまけ欲しさに、
「まろ茶120」を購入していた理由の伏線が
これでお分かり頂けたと思う。

ところで、おまけの知恵の輪の種類は12種類ある。
問題は、この12種類を全て揃えることができるかだ。

おまけのケースの中に、
知恵の輪の解き方の解説書が丸められて入っていて、
その表面に小さく緑色の字で、
知恵の輪の番号(1から12)が記載されている。
従って、自分が既に持っている知恵の輪の番号と重ならない
番号のおまけがついたペットボトルを購入すれば良いのだ。
私は定期入れの中に、
その番号を記録したメモを常に入れていて、
売り場で取り出して、すばやくそれとの照合を行うようにした。

だが、その解説書の向きによっては、
外からはその番号が見えない場合がある。
その場合は、知恵の輪の形から判断しなければならない。

持っている知恵の輪の数が少ない場合は、
その形の記憶を頼りにある程度分かるが、
数が増えてくると識別する判断があいまいになる。
だからといって、与えられている時間は限られる。

何分間も、「まろ茶」のペットボトルを手にとって、

おまけをひっくり返したりして、
あれこれ迷っているダイの大人(しかも、男)がいたら、
これほど滑稽不審怪しい姿は無いだろう。
知っている人には絶対に見られたくない姿だ。

もともと、コンビにのお茶系飲料のコーナーは、
最近の健康ブームを反映してか、
かなり人気のあるコーナーであり、
それだけ人が次々に立ち寄る。
商品を選んだら、すぐに他のコーナーに移動する

売り場の前でごそごそと商品をいじくりながら、
何分も立ち尽くしていれば、
それこそ、目立つし、怪しい のだ。

それが、私だった。(泣)

だが、さすがに、私だってプライドはある。

おまけの中身が何かで迷っているなどとは、
絶対に人には悟られたくない。

そのためには、
できるだけ短時間で、しかも自然な立ち居振る舞いで、
照合、判断、決断を下さなければならない。

持ち時間はおそらく、長くてもせいぜい5秒が限界だろう。

この5秒間で、どれだけ正確な判断を選択ができるかが
成功の鍵であった。

最終的に、通算勝率は、9勝6敗5引分けであった。

6敗というのは、
既に持っている知恵の輪と同じものを選んでしまった場合だ。
同じ知恵の輪を持っていても仕方が無いので、
会社の同僚の女性にあげることにした。
だが、そもそも、知恵の輪をもらいたいという
物好きで殊勝な女性自体が少ない。
「ええ〜?知恵の輪〜?いらない!」
という反応が多く、貰い手を探すのが大変だった。
知恵の輪やパズルといった類のゲームは、
女性よりも男性の方が好む傾向があるのかもしれない。
じゃあ、男性にあげればいいじゃん!
と思われるかもしれないが、
男にやるくらいなら、女にあげたい!
と思うのが男の心情というものである。

失敗して悔しい気持ちで一日を過ごすことが何度もあったが、
それでも、結果的に
12種類の知恵の輪のうち、9種類を集めることが出来た
のは運が良かったと言えるだろう。
わずか5秒間という短時間の内に判断しなければならなかった
という時間的制約に加え、
「まろ茶」のフェイス数(列数)が2つしかなく、
しかも、1回の機会において、おまけをチェックできたのは、
それぞれ最初の2個ずつ、計4個だけだったからだ。

この4個の中に、
未入手の知恵の輪のおまけが無いことに気づく場合もあり、
その場合は、他のお茶系飲料を購入した。
毎日、同じブランドのお茶系飲料では飽きてしまうからだ。
これが、「引分け」の5回である。

残念ながら5月に入ると、
まろ茶の「知恵の輪おまけ」キャンペーンは終了してしまった。
同時に、私のエキサイティングな毎日もジ・エンドを迎えた。

今にしてみれば、
実にたわいの無いことに一喜一憂する日々であったが、
あれほどの緊張感と興奮を私に与えてくれるおまけが、
また現れることが果たしてあるのだろうか?

P.S.
「まろ茶120」の知恵の輪のおまけを
ペットボトルのネックにつないでいた台紙に

「ヒマな時間を120%楽しく」
と書かれていた。
おそらく、殆どの人が読んでいない(気づいていない)と思うが、
実に素晴らしいキャッチコピーである。

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関連サイト:

まろ茶120(日本コカ・コーラ)
http://www.cocacola.co.jp/products/marocha/

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流音弥
2003年6月7日

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