プライバシーの無い店
コンビニやスーパーに行くといつも感じることがある。
買うものをカゴに入れレジに行くと、大抵行列ができている。
行列が無くても、私が並んだ後にはすぐに列ができる。
列ができないようにレジ係を増やすと、
人件費が増え経営が圧迫されるので、
客が我慢できないほどの長さにならない限り、
列が無くなる事は無いだろう。
まず、あなたがレジに並んでいるところを想像して欲しい
あなたの番が来る。
店員はあなたの買い物カゴから1つずつ商品を取り出し、
1つずつ スキャンをする。
カゴから1つずつ取り出さないとスキャンできないからだ。
その時、あなたは、背後からの視線に気がつくだろう。
あなたが買った商品が1つ1つ取り出されるたびに、
あなたが何を買ったかという情報が、
列に並ぶ後ろの人の頭脳にインプットされる。
ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、肉を買っていれば、
「ああ、この人の夕食はカレーだな」
「分量からすると、3人家族ぐらいだろうか」
などと思うだろう。
もし、若い女性がストッキングを買っていれば、
後ろの男性はこの女性の足と見比べて、
「この女の人はちょっと足太いな」
「けっこうキレイな足をしているな」
などと思ったりするだろう。
若い女性のカゴから生理用品が取り出されれば、
後ろの男性の妄想は一気に膨らむ。
その女性のトイレシーン、おりもの、陰部、エッチ。。。。
際限ない妄想の結果、犯罪につながる可能性もある。
女性としても、自分が生理用品を買っているのを
男性に見られるのは不愉快であろう。
女性が生理用品を買うのが恥ずかしい。
他の人にわからないように、買いやすいようにして欲しい。
女性消費者のそんな要望から、
11月11日より全国のローソン7,700店舗で、
生理用品らしくないパッケージの生理用品が発売された。
「センターイン デオドラント(ダンキン)」
女性が買っても恥ずかしくないというコンセプトの商品だ。
---------------------------------------------------
だが、問題は生理用品だけだろうか?
私は、買うのが「恥ずかしくない」商品であっても、
自分が何を買ったのかを他人に見られるのは非常に不愉快だ。
買ったものから、その人の生活を想像することはたやすい。
自分の生活を見ず知らずの人に見られるほど、
嫌なことは無い。
買ったものを見られるのは、
窓から自分の部屋を他人に覗かれている状況に近い。
この事態を解決するには、
レジでは、すぐ後ろに人を並ばせないことだ。
銀行のATMコーナーを思い浮かべて頂きたい。
ATMですぐ後ろに人が並んでいたら、
いくらのお金を引き出したか、
暗号番号など
が筒抜けである。
プライバシーどころか犯罪につながるので、
さすがに、ATMを操作している人のすぐ後ろには
人は並ばせないようにしている。
だが、小売業のレジの場合は、
店舗スペースの点から、それはかなり難しいだろう。
面積の広い百貨店やスーパーならともかく、
コンビニにそのようなスペースの余裕は無い。
スペースがあれば、商品を置くはずだ。
お客のプライバシー侵害を防ぐ解決法は、
現在のコンビニには存在しない。
生理用品に限らず、
全ての商品をそれとわからないようなパッケージすれば、
プライバシーの侵害は回避されるかもしれない。
だが、こんどはどれが何の商品だか混乱する事態になり、
お客の購買活動自体が非効率になるだろう。
---------------------------------------------------
ところで、最近これらのお客のプライバシー侵害を
一挙に解決できる技術が開発された。
「ICタグ」と呼ばれる米粒大のチップである。
(「RFID」とも呼ぶ場合もある)
それ自体が微弱の電波を発し、
その電波を専用の読み取り装置でキャッチし、
情報を解読することにより、
ICタグが付いていた商品の情報を把握することができる。
従来のバーコードよりも多くの情報を詰め込めるので、
製品に関する情報を効率的に管理することができるという。
バーコードでは、
手作業で1つ1つ読み取り装置に
商品に付いているバーコードをかざさなければならないが、
「ICタグ」ならば、
無線読み取り装置が認識できる距離内にあれば、
何百ものタグを1秒で同時に読み取ることが可能だ。
つまり、バーコードにかざす為に、
レジでカゴから一つずつ商品を取り出す必要が無くなる。
バーコードの情報がなかなか読み取れず、
読取装置を何度もかざしたり、
それでも結局読み取れない
といった光景もほとんど無くなるだろう。
---------------------------------------------------
ICタグは、そもそも、
小包などの荷物や商品の配送・取り扱いなど、
物流管理を効率化・確実化する為に開発された。
だが、小売の現場においても、その威力は発揮する。
レジでの作業を効率化するだけでなく、
商品の在庫切れ、期限切れを常に把握でき、
商品補充の必要性を店舗に対して知らせてくれる。
また、万引き防止にも絶大な効果を発揮する。
レジを通っていない商品を持って店舗の外に出れば、
警報が鳴るしくみだ。
今、問題となっている書店での万引きも、
ほぼ完璧に発見することができるはずだ。
この夢の技術「ICタグ」は、
既に日本の小売店でもテスト導入が始まっている。
---------------------------------------------------
「ICタグ」が本格的に普及すれば、
バーコードのように、
商品を1つ1つカゴから取り出されて、
他の客に買った物を全て見られてしまう
というような不愉快なことも無くなるだろう。
ただ気がかりなのは、
コンビニのように、
店員がビニール袋に商品を詰めるスタイルだと、
結局、カゴから取り出して詰めるその一部始終が、
レジに並ぶ後ろの人に見られてしまうことだ。
この問題に対しては、
スーパーのスタイルを真似すれことで解決できるだろう。
レジの役目はあくまでも精算だけにして、
袋に詰めるのはお客のセルフサービスにするのだ。
もちろん、商品を詰める為の
専用のスペースを設ける必要がある。
商品詰め込みの為のスペースを
コンビニ内に設けることができるかどうかが課題になる。
と思ったところで、私は根本的な見落としに気づいた。
そもそも、お客が買い物カゴに商品を入れる際に、
あらかじめカゴに入っていたそのお店のビニール袋に、
自分で商品を詰めていけばいいのだ。
買い物カゴごとレジを通過し、お金を支払った後は、
カゴからビニール袋ごと取り出し、持ち帰ればいい。
買う商品の数が少ないときは、
カゴ無しで、お店のビニール袋に商品を入れていってもいい。
だが、ビニール袋が透明だと中が丸見えだ。
中が見えにくいビニール袋を店側は用意するべきだろう。
また、カゴも現在のようなオープンな構造ではなく、
周りの人から中に何が入っているかわからないような
デザインにするべきである。
もっとも、お客が商品を手に取って、
カゴやビニール袋に入れるところまで他人の目から隠すことは
さすがに難しいので、ここで妥協するしかない。
=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
ユビキタスIDセンター
http://www.uidcenter.org/japanese/japanese.html
日本発OS「トロン」で有名な東京大学の坂村健教授が中心となって
結成されたICタグの標準化団体。
商品情報をICタグに格納する際のコード体系や、
ICタグのコードを読み取る装置についての標準化を策定。
「uID(ユビキタスID)」と呼ぶコード体系(128ビットコード)を採用。
国内外の有力メーカー180社が参加する。
オートIDセンター
http://www.autoidcenter.org/
ユビキタスIDセンターと勢力を2分し、
マサチューセッツ工科大学を中心に運営されてきた
IDタグの推進機関だが、2003年10月26日を最後に、
Auto-ID Labs と EPCglobal にその役目を引き継いだ。
Auto-ID Labs
http://www.autoidlabs.org/
IDタグの研究機関
EPCglobal
http://www.autoidlabs.org/
IDタグに使われる電子製品コード(EPC)(96ビットコード)の推進機関。
EPCは固有のシリアルナンバーであり、すべての商品を識別する。
米ウォルマート・ストアーズなど約80社が参加する。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
流音弥
2003年11月25日







