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生茶カントリー

今日、偶然電車の中で、
生茶(キリンビバリッジ)の宣伝ポスターを目にした。

和室でくつろいだ松嶋菜々子(和服姿) が
生茶を頬につけて気持ちよさそうに目をつぶっている写真だ。
テレビCMとも連動した内容で、良くある宣伝方法だ。

松嶋菜々子の隣には、
「生茶カントリー」のキャッチコピーの文字が配置されている。

私はこのポスターを最初に見たとき、
何か違和感を感じずにはいられなかった。
しばし電車に揺られれながらその理由を
ポスターを見ながら考えていたが、
ようやくその違和感の原因がわかった。

キャッチコピーとポスターの写真がマッチしてないのだ。

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松嶋菜々子がくつろいでいるのは、「和室」である。
つまり、「屋内」だ。
一方「カントリー」は「田舎」「広大な大地」であり、
イメージとしては「屋外」である。
まず、ここでイメージのギャップがある。

「カントリー」という言葉を使うのであれば、
「田舎」「広大な大地」の写真を使うべきなのだ。

テレビCMとの連動企画なのだから、
「和室」「和服」というシチュエーションは不可欠だ。
従って、この時点で「カントリー」という言葉は不適切になる。

おそらく、このキャッチコピーを書いたコピーライターは、
生茶の「国」をイメージさせたいが為に
「カントリー」という言葉を使ったのだろう。

「お茶の国」というイメージを使いたいという気持ちはわかる。
「生茶カントリー」という語呂も悪くはない。

だが、「国」を英語に直せば「カントリー」だが、
日本の普通の消費者が、
「カントリー」という言葉から思い起こすのは、
「田舎」であり「広大な大地」なのだ。

日本語      英語
      → カントリー(country)

 英語      日本語
カントリー → 田舎、(

「カントリーロード」という米国の有名な歌があり、
日本でもヒットした。
CMでも広大な畑の映像のBGMとしてよく使われる。
そのイメージが強いのかもしれない。
ゴルフ場の名前でも
「ゴルフカントリー」という言葉がよく使われている。
ゴルフ場のイメージは「広い芝生、緑」である。

作り手と見手の間に、
このような食い違いが出てしまったのは、
コピーライターが英語に秀でていた可能性が高い。
もしかしたら、帰国子女かもしれない。
「国」を英語で言えば「country」。
中学生で習う簡単な英語だ。
これくらい分かるだろうと思うのも当然かもしれない。

だが日本の消費者の日常会話において、
「カントリー」は「国」を連想させる言葉ではない
という現実を想像できなかったというのは、
コピーライティングにおける初歩的なミス
と言わざるを得ない。

もちろん、コピーライターだけに責任がある訳でなく、
それをチェックするべき、
ディレクターやメーカー担当者にも落ち度があったと言える。

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ところで、
「生茶カントリー」というキャッチコピーだけに注目すれば、
「カントリー」(=田舎、広大な大地)という単語の持つ
「素朴」「自然」「健康」のイメージは、
「生茶」のコンセプトに非常に良く合っている。

別のテレビCMバージョンとの連動ならば、マッチするだろう。
その意味で、再度、このキャッチコピーが出番が与えられ、
効果的に使われることを期待しよう。

だが、ひとつだけ問題がある。

「カントリー」という言葉は「サントリー」と発音が近い。
つまり、「生茶」=「カントリー」
というキャンペーンを行うことにより、
「生茶」をサントリーの製品だと
勘違いする消費者が出る可能性がある。

また、サントリーが同社のお茶飲料のCMで、
「カントリー」のキーワードとイメージを打ち出し始めたら、
キリンは自社製品の宣伝で
他社「サントリー」製品のイメージキャンペーンに
結果的に手を貸してしまうことになる。

つまり、そもそも「カントリー」は
キリンよりもサントリー向きのキーワードなのである。
これは、ブランド名(企業名)なのでやむをえない。

では、キリンは手の打ちようが無いのかと言えば、そうでもない。
「キリン」をアピールできるようなキーワードを使えばいい。

例えば井上ひさしのベストセラー
「吉里吉里人」で独立した「吉里吉里国」をもじって、
仮想の「麒麟麒麟国」でも作ってみるのもいいだろう。

「霧の国」=「キリン国」としてもいいだろう。

以上をまとめると、広告の注意点は次の2点に集約される。

1.キャッチコピーと写真は連動させなければ、
  それぞれが単独で優れていても意味が無い。

2.キャッチコピーも商品ブランド、メーカーブランドの面で、
  他の商品、他メーカーと差別化できないければ、
  効果が低いどころか、ライバルを強化してしまう。

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ちなみに、今回の生茶のテレビCMでは、
松嶋菜々子の着物の豪快なぬぎっぷりが話題だが、
私個人的には、バックに流れる大滝詠一の「君は天然色」
が選曲として素晴らしいと思う。
大滝詠一の長年の大ファンであることもあるが、
大滝詠一の作品でよく感じられる「水」のイメージが、
特に「君は天然色」ではことさら強く感じられ、
それが飲み物に ピッタリなのだ。

SMAPでも浜崎あゆみでも、モーニング娘でも
絶対に出せない音楽イメージである。
山下達郎も結構いい線行っているが、
どちらかというと海岸のイメージが強く、
塩水系と言える。

それに対して大滝詠一はむしろ淡水系なのだ。
飲み物のBGMには、当然こちらがベターである。

従って、テレビCMに限っては、次の注意点が追加される。

3.BGMは、キャッチコピーと映像にマッチしたもので無ければ、
  商品の価値を最大化することはできない。

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追伸(5月5日)

5月に入ってからの生茶のCMは、
私のエッセイを見てのことかどうかわからないが、
田舎道のバス停のベンチで一休みする、
着物姿の松嶋菜々子 になっていた。

確か、現在、松嶋菜々子は
出産を数ヵ月後に控えている状態なので、
去年の内にあらかじめいくつか撮りだめしておいたのを、
今後数ヶ月ごとに差し替えて放送してい行くのだろう。

さて、CMの内容だが、
縁日の帰りだろうか?
わずかの差でバスに乗り遅れた松嶋菜々子。
ベンチに座りながら、
金魚の入ったビニール袋で足を冷やしている。

初回CMの着物を脱ぐシーンもいいが、
夏を思わせる強い日差しの中で
松嶋菜々子が気持ちよさそうに生茶を飲んでいるのを見れば、
思わず喉が渇いてくるだろう。

金魚をアイテムとして登場させた点もいい。
「水」の中を泳いでいる「金魚」は、
「水」を飲んで喉を潤し、身体を冷やしている「人」を
暗に表現したものだ。
また、「金魚」自体が夏を感じさせる。

飲料のCMとしては、こちらが正解である。

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キリンビバレッジ「生茶」のオフィシャルサイト
http://www.beverage.co.jp/namacya/

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流音弥
2004年3月17日

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